日本社会では労働力不足が顕著であり、特に少子高齢化が進む中でこの問題は深刻です。このような状況では、有料人材紹介業が大きな役割を担います。企業と労働者のニーズを効率的にマッチングすることで、職業の適正配置を促進し、労働市場の活性化に寄与することができます。
有料職業紹介は許可制であり、適切な運営体制と財政基盤を持つ事業者だけが人材紹介を行うことが可能になります。これによって、不正行為や個人情報の漏洩などのリスクを最小限に抑え、求職者や企業に安心してサービスを提供できる環境を整備します。
本記事では、人材紹介事業の開業に必要な許認可の要件の概要を説明しています。これから人材紹介での開業を検討する上で、ぜひ参考にしてください。
目次
要件
財政的基盤の要件
有料職業紹介事業を行う事業者は、一定の財政的基盤が必要です。具体的には、事業所の数に応じて、基準資産額が500万円以上必要です。さらに、事業資金としての現金や預貯金も、事業所の数に応じて計算されます。
個人情報管理の要件
個人情報の適正な管理と秘密保持は、職業紹介事業において非常に重要です。事業者は、個人情報を安全に管理し、漏洩や不正利用を防ぐための体制を整える必要があります。
- 個人情報適正管理規程
モデル例 ① 個人情報適正管理規程 1
業務運営能力の要件
事業者および職業紹介責任者は、適切な業務運営能力を有していることが求められます。これには、関連法令の知識や適切な経験、さらには職業紹介責任者の選任とその研修が含まれます。
- 職業紹介責任者の選任
職業安定法に基づき「有料の職業紹介事業」を行う事業者に対して、設置が義務付けられている役職で、講習を受講する必要があります。
職業紹介責任者講習の実施機関等について
事業所の要件
事業所は、適切な位置にあり、職業紹介業務を行うのに適した設備や面積を備えている必要があります。プライバシー保護のための設計や、適切な対面または非対面でのサービス提供が可能な構造が必要です。
適正な事業運営の要件
事業者は、職業紹介業と他の業務との間で適切な関係を保持し、利害の衝突を避けることが必須です。また、不正行為や不適切なサービス提供を防ぐための内部規程やガイドラインの整備が求められます。
- 業務の運営に関する規程
厚生労働省 104 - 様式例第1号 業務の運営に関する規程
必要書類
- 有料職業紹介事業許可申請書(様式第1号)
- 有料職業紹介事業計画書(様式第2号)
- 届出制手数料届出書(様式第3号)※上限制手数料による場合は提出不要
必要とされる添付書類
- 法人に関する書類
- 定款又は寄附行為
- 法人の登記事項証明書(省略可能な場合あり)
- 代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類
- 住民票の写し(個人番号の記載なし、本籍地記載あり)
- 履歴書
- 精神の機能の障害に関する医師の診断書(該当する場合)
- 職業紹介責任者講習受講証明書の写し(職業紹介責任者に限る)
- 資産及び資金に関する書類
- 最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
- 預貯金の残高証明書やその他資産の額を証明する書類
- 納税証明書
- 個人情報の適正管理に関する書類
- 個人情報適正管理規程
- 業務の運営に関する書類
- 業務の運営に関する規程
- 事業所施設に関する書類
- 建物の登記事項証明書(所有している場合)
- 建物の賃貸借又は使用貸借契約書(借りている場合)
国外にわたる職業紹介を行う場合に追加で必要な書類
- 相手先国に関する書類
- 相手先国の関係法令及びその日本語訳
- 相手先国において、国外にわたる職業紹介について事業者の活動が認められていることを証明する書類及びその日本語訳(取次機関を利用しない場合)
取次機関を利用する場合に追加で必要な書類
- 取次機関に関する書類
- 取次機関及び事業者の業務分担について記載した契約書その他事業の運営に関する書類及びその日本語訳
- 相手先国において、当該取次機関の活動が認められていることを証明する書類(相手先国で許可を受けている場合にあっては、その許可証の写し)及びその日本語訳
参考URL:
大阪労働局 有料職業紹介事業の許可
厚生労働省 職業紹介事業パンフレット 許可・更新等マニュアル
申請書類の作成は行政書士に相談しましょう
行政書士でないものが、他人の依頼を受け、業として、官公署に提出する書類の作成を行うことは法律で禁じられています。複雑な申請書類の作成は行政書士に相談しましょう。許認可制度の概要をわかりやすく説明し、事業開始まで伴走しサポートします。